皆さん、こんにちは!足立区北千住にある歯科医院、荻原デンタルクリニック
院長の荻原です。
先日、荻デンの歯科医師全員で、日本メタルフリー歯科学会へ出席してきました。
日常の生活環境中の金属は、年々著しく種類も量を増加しています。若い方の間ではピアス等の装飾品の流行により、金属に対する反応(感作陽性率)が増えて、アレルギー性接触皮膚炎が多くみられるようになりました。接触アレルギーの原因としての金属の中で、感作陽性率が高いもの、ニッケル、コバルト、クロム、水銀という報告があります。今回の発表の中で、大学病院の口腔金属アレルギー外来の先生の講演はとても興味深かったです。
その内容ですが、歯科用金属が原因で何らかの症状を訴えている患者さん、もしくは不安があり来院した患者さんの動態を把握する目的で、2001年1月より2008年12月までに金属アレルギー外来に来院した方について、臨床統計学的に検討を行い、その結果報告がありました。それによると
1.女性の受診者は男性の4倍であり、感作陽性率は男性54%、女性59,1%であった。
2.来院時の臨床診断名で口腔外に症状の出現した患者では掌蹠膿疱症が最も高かった。
3.口腔内に症状が出現した患者では扁平苔癬が最も多かった。
4.金属元素別の感作陽性率はパラジウム、ニッケル、コバルト、スズ、クロム、金の順であった。また、パラジウム、ニッケル、コバルトの同時感作が多く認められた。
5.男女別の感作陽性率は銅と銀の両金属で有意に女性の感作陽性率が高かった。
以上の結果より、金属を用いて修復を行う際には過去に全身的あるいは、局所的に金属における皮膚症状にてトラブルがなかったか等の問診を行う事。そして皮膚科医と連携し原因金属の特定を行い、原因となる金属を使用しない、もしくはメタルフリー歯科治療を行うなど十分な配慮が必要との事でした。今後も、当院でもメタルフリー治療を研究していき患者の皆さまに安心して提供していきたいと思います。