皆さん、こんにちは!足立区北千住にある歯科医院、
荻原デンタルクリニック歯科医師の鹿島です。
メタルウッドなどのゴルフ用品の製造に、歯科の技術が応用されているのをご存知でしょうか。
メタルウッドやアイアンのヘッドの多くは、ロストワックス法という製造法によって作られています。この製法は、一九〇七年に歯科医師タガールトによって考え出されました。
ロストワックス法とは、まず、金属で作りたいものの原型をロウ(ワックス)や樹脂で製作します。できたものを耐熱性のある特殊な石こうの中に埋め込み、石こうが固まったあと、加熱してワックスを焼却してしまいます。
すると石こうの中に鋳型ができ、その中に溶かした金属を流し込むと、原型と同じ金属の製作物ができることになります。
みなさんの歯に詰めたりかぶせたりしたものをはじめ、入れ歯の金属部分など、歯科で使われる多くの金属製のものは、ロストワックス法によって作られ、その精度は十ミクロン(一ミリの百分の一)以下を目ざしています。
もちろんこのような精度を満たすのは大変なことです。例えば石こうが固まるときの寸法変化や、鋳型に流し込んだ金属が冷えて固まるまでの温度差で収縮することも問題になります。その他、いろいろな問題点を解決して、今日の歯科医療が必要とする精度を達成できるようになりました。そして、歯科医療から生まれたこの高い技術が、複雑な形をした金属製品を作る工業界にも広く応用されているのです。
スポーツをしている際などに、奥歯をグッと噛みしめると、歯が欠けてしまう事があります。そのときは、ロストワックス法の出番です。