
「マウスピース矯正って、どうして歯が動くの?」
透明な装置をつけるだけで歯並びが整う――そんな不思議さに疑問を感じたことはありませんか?
ワイヤーを使わないのに歯が少しずつ動くのには、きちんとした生物学的な仕組みがあります。今回は、マウスピース矯正の仕組みやインビザラインで歯が動くメカニズムについて、わかりやすく解説します。
目次
■マウスピース矯正の基本的な仕組み
マウスピース矯正は、薄く透明な樹脂製のマウスピース(アライナー)を使用し、段階的に形の異なる装置を装着して歯を少しずつ移動させる治療方法です。
1枚のマウスピースで動くのはおよそ0.25mm前後。この小さな積み重ねで、最終的に理想的な歯並びを作り出します。
インビザラインでは、歯科医師がスキャンデータをもとに3Dシミュレーションを行い、歯の動き方や順序を精密に設計します。これにより、無理のない力で安全に歯を移動させることが可能になります。
■なぜマウスピースで歯が動くの?
歯は顎の骨(歯槽骨:しそうこつ)に埋まっていますが、完全に固定されているわけではありません。歯の根の周りには歯根膜(しこんまく)というクッションのような組織があり、これが歯の移動に大きく関わっています。
◎矯正治療で歯が動くメカニズム
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マウスピースによって歯に力が加わる
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歯根膜が反応し、押された側の歯槽骨が吸収され、できたスペースに歯が移動する
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歯が移動した分、反対側では新しい骨が形成される
この「骨の吸収と形成」が繰り返されることで、歯が少しずつ移動していきます。
ワイヤー矯正も同じ原理ですが、インビザラインではマウスピースが歯全体を包み込み、均一でやさしい力を持続的にかけられるのが特徴です。
■インビザラインの独自の仕組み
◎3Dシミュレーションによる精密設計
専用スキャナー(iTeroなど)で歯の形をデジタル化し、AI技術を使って歯の動きを段階的にシミュレーションします。
治療開始前に「どの歯が、どの方向に、どのくらい動くか」が視覚的に確認できるため、計画的に矯正を進めることができ、患者さんのモチベーションアップにもつながります。
◎アタッチメントの役割
インビザラインでは、歯の表側にアタッチメントと呼ばれる小さな突起をつけることがあります。これはマウスピースの力をより正確に歯へ伝えるための工夫で、回転や引き下げといった複雑な動きにも対応できます。
◎エラスティック(顎間ゴム)による補助
噛み合わせの調整が必要な場合は、ゴムを併用して上下のバランスを整えます。これにより、見た目だけでなく機能的な噛み合わせを得る効果が期待できます。
■マウスピース矯正の効果
マウスピース矯正は、見た目が自然になるだけでなく、歯列全体の調整にも効果があります。
◎歯並びの改善
デコボコ・ガタガタとした歯並びややすき間、前歯の突出などを整えることで、バランスのとれた歯列へ導きます。
◎噛み合わせの改善
噛み合わせが整うことで、顎の関節や歯への負担が軽減され、歯を長持ちさせる効果が期待できます。
◎清掃性の向上
歯列が整うことで歯ブラシが届きやすくなり、むし歯や歯周病の予防にもつながります。
■歯が動くスピードと注意点
歯の動くスピードは個人差がありますが、1ヵ月で約0.5mm程度といわれています。
焦って力を強くかけすぎると、歯根や歯槽骨にダメージを与えることもあるため、無理のない計画的な移動が重要です。
また、マウスピースは1日20時間以上の装着が必要です。装着時間が短いと予定どおり歯が動かず、治療期間が長引く原因になります。
【仕組みを理解し、安心してマウスピース矯正をスタートさせよう】
マウスピース矯正で歯が動くのは、歯槽骨の吸収と形成という自然な代謝の仕組みによるものです。
インビザラインはこのメカニズムを科学的にコントロールし、デジタル技術を使って精度の高い矯正を行うことができます。見た目の自然さだけでなく、しっかりとした理論に基づいた治療法だからこそ、安心して取り組むことができるのです。
当院では矯正無料相談も行っておりますので、興味のある方はお気軽にご相談ください。
